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吉川トリコ
吉川トリコさんの回答
プロットというほどたいしたものではないのですが、なんとなくこんなかんじ、というのをわざわざファイルに起こしたりせず、メールに直接書いて送ることが多いです。例をいくつかあげてみますね。 ・マリー・アントワネットがギャル語で日記を書く話(「マリー・アントワネットの日記」) ・ゲイのカップルが子育てする話(「ミドリのミ」) ・余命宣告された独身の中年女が老後のための貯金で男を買う話(「余命一年、男をかう」) 一行で言い切ってしまえるぐらいコンセプトのはっきりしたものは、やっぱり通りやすいですね。 ちょっと変わった構成や形式の作品なら、先行作品を例にあげたりもします。「ベルサイユのゆり」は故マリー・アントワネットの話を周辺人物にインタビューして回るという形式の小説なのですが、有吉佐和子さんの「悪女について」みたいな、と打ち合わせで伝えたら、「ああ!」と担当氏はすぐに理解してくれました。 私の過去作を把握している勘のいい編集者は、女性芸人と女性アナウンサーの話(「夢で逢えたら」)を書きたいと言っただけで、ジェンダー的な視点でシスターフッドの物語をやろうとしているのだとたちどころに理解してもくれました。 もっと繊細で、一言では言い切れないような、こまやかさを必要とする物語を書こうとしているのであれば、言葉を尽くすしかないと思いますし、そういったものを理解してくれる編集者はまだまだ多数存在します。私がデビューしたばかりのころは、いまよりもっとふわふわしてて、打ち合わせもふわふわしたまま、というかんじだったのだけど、最近の中間小説界は強つよコンセプトありきのパワー小説プレゼン大会になってる感があるのが、ちょっと切ないです。一言で言い切れないから何百枚も費やして小説を書くのにねえ……。 さて、いいかんじに話がせちがらい方向に移ったところで、昨今の業界事情についてですが、やっぱり年々厳しくなってるかんじが強いです。出版不況だと言われて久しいですが、私のころはまだ、一冊目が売れなくても二冊目までは面倒を見てくれたり、連載を持たせてくれたり文庫まで出してくれる版元が多かったのですが、最近はそんな余裕もなくなってきているようです。初版部数は下がるいっぽう、最近では文庫書きおろしも増えてきて、収入の面ではなかなか厳しいのが現状です。一部の売れっ子しか専業で食っていけなくなる時代はもうそこまできていると思っています。 体調を崩したりスランプに陥ったりしていつ小説が書けなくなるかもわからないし、そもそもの依頼がなくなるかもしれない。フリーランスでいることはとても危うく、不安定なのだなと日々感じています。 しかし、暗い話ばかりではなく、旧来の業界のやり方に疑問をおぼえ、一人出版社を立ち上げる編集者や独立系書店をひらく書店員も増えてきていて、変わっていこうとする兆しは見え始めています。しかし、それが小説家の生活を安定させる方向に動くのかといったらまだ私にもわからないことが多いです。 いまの時代はどんな職種も、一つの収入源だけで生活を成り立たせるのが難しくなっているのかなとも感じています。あれもこれもとフレキシブルに手を出すクリエイターが増えているのがその証左でもあるのかなあなんて。 昔から純文系の作家は大学で教鞭をとっていたりもしますから、私も小説だけで食えなくなったらオンラインサロ・・・・いや、それだけは死んだ祖父の遺言で禁じられているんでした。 冗談はさておき、いざとなったらバイトでもしながら、趣味で小説を書き続けようとは思っています。
吉川トリコ
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