
谷賢一's answer
アレぜんぶアドリブというか、ただのトラブルです(笑)。あのときKAATの裏周りのトラブルで、舞台が水浸しになってしまい、あわてて出てきたマクベス夫人(淺場万矢ちゃん)が天才すぎたので、なんかこう演出っぽく見えていた……というだけで、ただのトラブルなんです。
でも、あのときも淺場万矢ちゃんはすごかったですよ。僕が裏にいて、指示を飛ばすよりも前に早く、勝手に判断をして客前に出ていきました。そして、なんか勝手に、スピーチしてるんです。
「当館のおもてなしに不便があって申し訳ありません、でもご安心ください。私たちはの館では……」
とかなんとかまぁ、しらんけど、いろいろやって場をつなぎ、むしろ「トラブルがあった方がラッキー」くらいの回に仕立て上げてました。超かわいいよね。最高です。
だから僕は万矢ちゃんが好きなのよ。自力で戦える俳優さん。ただ僕も、彼女とずっとそういう話はしていました。僕は、コンセプトは示すけど、演じるのは君だと。それを、期せずとも完璧にやりきったのがあのトラブルだと思います。
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なおその後、僕がこんだけ苦境に立っている中、劇団員のほぼ全員が連絡をくれないどころか、僕を陥れるような発言をする中(若手もベテランも含めて9割以上です。9割!)、彼女だけは僕を心配してくれて、ちょくちょくラインをくれました。2年後、再開したときに、ちょっといいい鉄板焼屋さんの店を押さえたら、彼女はちぺろりと粉物を平らげて、「谷さん! もう一杯行きましょう!!」と言っていました。
本当の意味で、偏見のない人です。
そして、勇気のある人です。
あんな状況の僕と、ご飯を一緒に食べに行ってくれて、「粉モン食べに行きましょ!」と言ってくれた。
そんで、「またやりましょ! 私、谷さんの福島3部作・第2部が、生涯一番好きな作品です」と言ってくれた。
そして食事の最中もずっと、僕と演技論・演劇論をしていました。今は指導者としても活躍し、その蜷川幸雄に学んだノウハウをどう後進に活かそうか、僕とだいぶ深い話をしていました。
淺場万矢は本当に、いい女優です。
だから僕は、劇団員を差し置いても、彼女をマクベス夫人に頼んだんです。
僕のやりたいと思ったマクベス夫人は彼女であり、だからこそ劇団員からはめっちゃくちゃ恨まれたけれど(訴訟もされたけど)、僕は満足です。僕は、自分の知る限り、最高のキャスティングを常に優先したいといつも思っている。それだけでです。
ただし、だからこそ今回の裁判のような逆恨みを買ったのだとも言えます。実力のある子を選んだだけで恨みを買うということが、演劇界では普通にある。それを知らない? おっと、ご冗談を? いやあ、『ガラスの仮面』を、読んだことない?
以上すべてフィクションですので、くれぐれも本気になさいませんよう。続きは明日公開予定の裁判記録にて。

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