
谷賢一的回答
ばらしい質問を、ありがとうございます。どれも、私からすると、お答えするのはわけのないことですが、それが質問者様のお役に立つのでしたら、こんなにうれしいことはありません。
一つずつお答えします。
>・海外の翻訳にするにあたり、人物の解釈などで気をつけていること
→まずは読むこと。自分で演じながら、翻訳することです。たとえば、Hi!と、Hello!と、Yo Man!だと、どれもまぁ「やぁ」とか「おはよー」くらいの意味ですが、ニュアンスは全然、まったく違いますよね。
I'm Ken.と、I am Ken.と、Call me Ken.と、Ken.と、どれも自己紹介ですが、まったく違う。これを、「じゃあなんでその言い方をしたんだろう?」ということを、腑に落ちるまで考える……ということを、ひたすらやります。それだけです。だから実は、翻訳は、英語力じゃなくて読解力なんです。
>・演出プランはどういったプロセスで組み立てているのか
(当時playnoteでてんかんの可能性がありつつも演出として盛り込んだと書かれていたと記憶しています)
→これも簡単で、終演後のお客さんの気持ちを考えます。たとえば……。
1.「モリーがホントにカッコよかった! 南果歩さんすばらしい!」
2.「健常者と障害者という分け方自体がおかしいのかもしれない。すべての人が違うということか?」
3.「時間を忘れた。あっという間に観ちゃったな。わかんないとこあったから、もっかい来よう!」
どんな気持ちで客席を立たせたいのか、それを考えます。あるいはこう言ってもいいですよね。一番伝えたいものは何なのか。そこを、まずきちんと見据えて、あとはそこから逆算です。上3つも、似てるようでいて全然違うし、ぜんぶ追い求めるとどれも実現できません。何が自分の核なのかを考えます。
絶対こうするべきなんです。演出初心者ほど、あっちもこっちも、いいシーンをいっぱい作りたいと思って、全体としてまとまりのない、観終えてみるとよくわかんない作品になっちゃう。僕もそういうの、死ぬほど作りました。だから言えることです。
>・小林顕作さんは他二人に比べてかなり自由にやっていたが(ルービックキューブとか)、大筋からブレないラインをどう見極めていったのか
→彼は天才です。あんなにアドリブ多いように見えて、実はめちゃくちゃ流れに忠実なのです。それはご本人も言っていました。あの人すごいですよ。「5分間、好きなことして笑わせろって言われたら、やれるよ。必ず笑わせられる。でも、谷君の言ってることはそうじゃないでしょ? 俺もそういうのはしたくない。作品のためになりたい」みたいなことを、言うんです。笑いはいつでも取れるから、作品の役に立ちたい。すごい言い回し。
そんで、マジで出ていって、1つか2つのアドリブで、必ず笑いを取ってました。あの人ホント、とんでもないですよ。
>・作品の大詰め前にチラシができると思いますが、大まかなプランなどを伝えておまかせで制作していただくのか、谷さんの意見がガッツリ入るのか
(第一報は◯△の人物像に役者の名前が入ったもの、その後正式なものは美しいオレンジの背景と、シンプルな服装の3人でしたよね)
→あのときは、僕の意見はほとんど入っていません。専門の広告チームが、作品を読んで何パターンもチラシ案をプレゼンしてくれて、一応僕もちょっと意見は言いましたが、別にそれはどうでもいいんです。
チラシって、演出家のものじゃないんですよ。チラシの最高決定者は、プロデューサーなんです。興行全体の責任者はプロデューサーですから。演出家はあくまでその中で、作品の芸術的監督者。演出家の上に、プロデューサーがいます。僕もこれには賛成です。いいプロデューサーがいる公演は、演出家としてもやりやすい。指針が明快だからです。
あのときのチラシは僕も気に入っていますが、そういうわけで、僕はあまり経緯と決定には携わっておりません。
あらためまして、いいご質問をありがとうございました。特に最後の、プロデューサーと演出家の関係なんかは、一般の方にはわかりづらいですよね。演出家を専制君主みたいに言ってる・思ってる人、たまにいますが、違いますよ。我々は、請負人です。キャステイング権すらない場合さえあります。

向谷賢一发送
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