
マシュマロちゃんさんの回答
これはすべての物事に通じる話だと思います。上達するにつれてクオリティを上げるためにできることが増えてくるので、時間をかけられるようになります。大きく成長している最中ならば、とことん時間を使ってやり切ったほうがいいでしょう。
でもある程度成長したら、今度はやりすぎないようにしたほうがいいでしょう。表現したいことに大して実現するための情報量が多すぎて、命題密度、つまり表現の密度が下がるからです。おそらくここで悩んでいるんだと思います。
そのフェーズに入っているなら、やるべきことは表現の目的をもっと高い視点で明確にすることです。たとえば家の背景を描くとしたら、「より家だとわかりやすく」だとか「住宅街っぽく」とかは低い視点の目的です。「主人公の社会的階層との格差を浮き彫りに」とかそういう目的になってくると、高い視点になってきます。
こんな風に高い視点での目的を考えていくとどんどん表現が純化され、「ここではこれさえ表現できればいい」という状態になってきます。漫画でそれができれば、「真に迫るたった一本の線」のようなものが描けると思います。文芸で言えば志賀直哉の『城の崎にて』の「淋しかった。」の一文がそういうものになります。
高い視点で考えるのもやっぱり自分自身での訓練が重要ですが、担当さんがいるならば、相談するのもいいと思います。というのも、編集者は作者じゃないのでむしろ低い視点では考えられず、常に高い視点で考えているからです。もちろん高い視点の思考にも巧拙があるので、高い視点に秀でているとは限りません。しかしそれでも編集者もまたプロフェッショナルですから、信頼できる人なら話す価値は相当にありそうです。一度相談してみましょう。

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